観劇記録 蒲原ファンタジア旗揚げ公演「ヤマトタケル」
11月5日 新潟古町えんとつシアターにて。
ヤマトタケルという名前は知っているし、クマソ征伐やら、草薙の剣やら漠然としたイメージはあるもののだよく分からない人物。
観劇後、ともかく「ヤマトタケル」の正史を知りたいと思った。それだけ、描かれるキャラクターが活き活きとしていた。
ヤマトタケルは、役としての若々しさと、実際の若さがともない、それゆえの勢いと空回り感がよく合っていたと思う。
しかし何よりも脇の方の演技がすごかった。
冒頭のクマソタケル兄弟のやりとりは、あまりにも嘘くさい九州弁であったが、それ故に耳に残り場内の雰囲気を温める。
織田さんと吉田さんの演ずるキャラクターは、どちらも憎たらしいくらいの腹黒さが素晴らしい。
伊吹山の神の動きも綺麗で幻想的であった。
ヤマトタケルという悲劇の英雄を正義として描くのではなく、戦の不毛さを自らの死をもって伝える役としたのは、現在のこの状況には、何よりもふさわしかったのではないかと思う。