ヒビコレ

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観劇記録 劇団カタコンベ「景01」

12月9日 新潟古町えんとつシアターにて。

 前回の「彼女に与えるべきではないエサのいくつか」が、それまでのカタコンベの芝居を若さで暴走気味に崩してみたという感じを受けたのだが、今回はいかにもカタコンベぽい作品。
 舞台は近未来、ドームと呼ばれる避難場所の世界。そこでは人間はいつまでも若く、寿命も300年くらいとなることを選ぶことが出来る夢のような世界。


 そんな中、一組の夫婦。夫は喜んで、そのシステムを選択し、妻は現在と同じように、老いて死んでゆくことを選ぶ。

 それに対しての妻の妹、夫婦の子供の反応、そして妻の親友の記憶。

 夫婦が出会って、子供が生まれ、そして別れる。
 ごく普通の物語のはずが、夫婦(正確に言えば、妻とその周囲)の共有する時間の流れが目に見えて違うため、まるでかみ合わない。ただ、”愛情”だけは変わらず。
 必要最低限のセットと照明。
 登場人物の名前はいつもと同じように無機質(正直まるで覚えてない)、故にストーリーよりも、場面場面のキャラクターの演技が際立つ。

 同じ言葉を繰り返しミルフィーユの様に重ね合わせ、物語を少しづつ進行させるその繊細なことと言ったら!
 また登場人物が、同じ舞台上にいるのに、目線が合わず独白が重ね合わせられる、そのやり切れなさ。
 生と死、出会いと別れ、愛情、思い出。そんな当たり前のことが、胸に突き刺さるような芝居だった。
 2日連続で見たいとは思わないけど、自分自身の「気持ち」の定点観測として5年に1度くらいみたいなと感じた。
 また、劇中で繰り返されていたエロい動作が、衝撃のラストへの伏線になっていた!ということに驚愕。綺麗に終わらせたなぁという感じだった。