ヒビコレ

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観劇記録 劇団カタコンベ「彼女に与えるべきではないエサのいくつか」

 7月3日および7月6日 新潟古町えんとつシアターにて

 これを見るのは何度目になるんだろうな、多分過去に3バージョンくらい見た覚えがある。

 動物園を舞台にした”ナオコ”と”アキコ”という名の2人の女性の物語。親友で、そして”ヤマちゃん”という男性にまつわるストーリー。

 いつも観終わったあと思うのは、”ナオコ”の独り語りが、少し退屈じゃないか、と思うこと。
 それとラストシーン、ヤマちゃんの正体が分かった後の流れって、あんなに必要なのか?ということ。

 今回は設定も変わったということで、その辺りもどう変わったのか。

 Aキャスト

舞台が植物園。でニョロが、食虫植物に変わったということでナンセンス度合いは高くなる。

 明田川さんのアキコは、まさに想像したとおりのアキコ像。

 明るくて表情が豊かで、光り輝いている。時々、見せる激しさも、救われないという感じではなく、どちらかというと思春期の、どうしようもない感情が剥き出た少女のもののように思える。
 また、酔いつぶれていても、食虫植物の名前がスラスラと出るあたりに、生真面目さも表現されている。

 一方、香里さんのナオコは、時々出る”オレ”からも分かるように、今までのナオコに比べると、少々男性的で寡黙であった。その分、一言、一言の意味が重くなり、結果一人語りが前回よりも短かかったのか。間延びというほどではなかった。

 動きはそれほど無く、セットも極端にまで抑えて、見ている者の想像力をきわだたせていた。

 ヤマちゃんの正体が分かった後での語りは、過去とこれからをつなぐ線に上手くもっていった感じがあった。ただ初日だったせいか、動きそのものが固いところがあり、笑いが少なかった。

 

Bキャスト

 設定が海女。という時点で、パロディーの匂いがプンプン。
 熊倉さんのアキコが凄い!今までのアキコとはまるで違う。明るくて目立っていて・・・
 いや違う。この明るさは見せかけだ。明るい描写はされているが、目に深い闇を持っている。FMでは無く、AM、それも深夜ラジオだけでなく、「安住 紳一郎の日曜天国」あたりもリアルタイムで聞いているような、そんな青春時代を過ごしてきたに違いない。

 そんなアキコと無いする黒江さん役のナオコは、暴走しつつある、アキコを上手く現実世界に留めているなという感がある。

 進行そのものは、とにかく笑いの要素が今までのものよりも、格段に多く、その笑いのパワーで、冗長になりがちな部分を上手くやり過ごしたなという感じであった。

 ラストも、まさに「あまちゃん」の如く、未来への再生が見える大団円ラストとベタに終わったのがよかった。

 また、見終わった後のお客さんの言葉の中に「海を見ながら飲みたくなった」という声があったのが印象的だった。

 最低限のセットの中で「海」が確実に見えていたということであろう。

 同時上演された朗読劇「海の上の少女」が上手くリンクしたのかもしれない。

 

同時上演 朗読劇 海の上の少女

 朗読劇という割には、結構動いていたな。

 「少女はいつまでも少女である」という幻想物語として受け取る。

 導入部のセリフが、聞き取りにくく、世界に入り込みにくかったのだが、徐々に動きが大きくなることで、その世界の美しさ、怪しさが彩られていく。

 「少女はいつまでも少女である」という切ない話。
 少女が色気を帯び大人に変わる瞬間を中島さんというリアルで切り抜いた感じがした。多分、これがリアルで出来るのはまさに今しかなかったのだろう。